<管理職からの質問>
勉強のために部下にいろいろな外部研修会へ参加させています。興味を持って参加しているようですが、どれもその場限りの研修に終わってしまっています。これでは研修会に参加させる効果がないように思うのですが、どうしたらよいでしょうか?
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<解説>
外部研修会への参加は、次のような欠点があります。
・研修会の参加費用、会場までの交通費等がかかる。
・研修会に参加させている時間は本来業務ができない。他の従業員へ負担をかける。
・研修内容自体が会社や部下の求めているニーズとは異なっていて参考にならないこともある。
しかし、研修会に参加することで、社内だけでは学ぶことのできない内容を知り、又は深く理解して、日頃の業務に活かすヒントを得られるでしょう。
研修に主体的に参加している部下は多くのことを吸収しようと積極的になるので、とても勉強になります。一方、指示されて参加している部下にも、研修で学んだことをヒントにして業務の効率や質を高めてもらいたいものです。また、研修に参加することでモチベーションアップにもつながることが多いでしょう。そのような期待を込めて参加させていると思います。
欠点よりも効果が大きいことを狙って外部研修会に参加させるのですが、ご質問のように十分な効果を出せていないこともあるでしょう。
外部研修会に参加させたときは、多くの会社では研修報告書(doc)(pdf)又は復命書を提出させて研修報告させています。研修参加の振り返りになったり、上司が研修内容を確認できたりするなど一定の意味はあるでしょう。しかし、それだけでは形式的なものになってしまい十分な効果が得られません。研修は、参加者自身が学んだことを実際にどう活用するかということにかかっています。実際の業務に活かせなければ、何にもなりません。
そこで、お勧めするのは、研修会参加後に上司であるあなたから部下に直接声をかけてください。例えば、
「研修会はどのような内容だったか?」
「参考になることは何だったか?」
「他の参加者とどんなディスカッション、意見交換をしたか?」
「学んだことを職場で活かすためにはどうしたらよいか?」
「職場の皆で、研修内容で勉強会をしてみてくれないか?」など
研修を業務に活かすための一言を投げかけてみてください。その一言が研修会への参加を効果あるものにするでしょう。
なお、外部研修についての質問でしたが、、内部研修においても同様のことが言えます。
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<ポイント>
研修会に参加させた後は、上司であるあなたから直接、研修を業務に活かすための一言を投げかけてみてください。「研修会はどのような内容だったか?」「学んだことを職場で活かすためにはどうしたらよいか?」などです。
管理職の心得
<管理職からの質問>
以前「個別労働紛争解決制度施行状況」について教えてもらいましたので、その後、意識して状況をみていますが、相談件数は相変わらず高止まりで推移しているようですね。今後もこの傾向は変わらないのでしょうか?
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<解説>
平成22年度の個別労働紛争解決制度施行状況が厚生労働省から報告されています。おっしゃるように相談件数は高水準で推移していますので、今後も相談件数や内容に注目していく必要があるでしょう。
また別に、厚生労働省は、平成23年11月から賃金不払残業(サービス残業)や長時間労働などの職場の問題に関する情報や相談をメールでも受け付けるような仕組みを設けました。
賃金不払残業(サービス残業)などの情報提供メールを24時間受け付けます!~「労働基準関係情報メール窓口」を11月に開設~/厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/mail_madoguchi.html
これら情報の提供は、従業員本人からだけではなく、従業員家族でも、さらに従業員の知人からでも行うことができます。これまで情報提供や相談がある場合、労働基準監督署や労働局へ出向いたり、直接電話をかけたりしなければならないため、心理的な抵抗がありましたが、ネットを使える環境さえあれば、24時間いつでも情報提供や相談ができますので、かなり抵抗感は小さくなるでしょう。
厚生労働省からの情報をみると、前述の個別労働紛争解決制度の実施状況のほか、賃金不払残業(サービス残業)の是正指導によって残業代の支払いが3年ぶりに増加しているため、同省は労働環境の適正化に向けての取り組みをより一層活発化させるのではないかと思います。
加えて、今回のメール相談窓口の仕組みが従業員に周知され、活用されるようになれば、相談件数がさらに増加し、労働基準監督署からの調査や指導が今以上に多くなると予想されます。したがって、会社としても、また管理職としても、より一層適切な労務管理に努める必要があります。このことを十分に理解しておいてください。
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<ポイント>
個別労働紛争解決制度施行状況は引き続き高水準で推移することが予想されます。また、厚生労働省は、11月に賃金不払残業(サービス残業)などの情報提供メールを24時間受け付けるメール窓口を開設しました。今後、従業員からの相談がさらに増え、監督署からの調査や指導が今以上に多くなると予想されますので、より一層適切な労務管理に努める必要があります。
<管理職からの質問>
他の管理職の方は、部下を叱ることについてどのようにしているのでしょうか? また、叱られる部下はどのように思っているのでしょうか?
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<解説>
多くの管理職は、職場で叱る必要性があると考えていますが、「職場で叱る頻度は減っている」ようです。その理由としては、次のようなことが言われています。
・叱ると、部下がついてこなくなる。すぐに辞めてしまう。
・上司としての叱り方がわからない。
・叱るとパワハラなどと言われるようになった。
現在の職場事情を反映しています。
「叱られたくない上司」には、
・信頼できない。
・いざというときに責任をとってくれない。
・部下の状況や理由をきちんと理解しないで決めつける。
という意見が多く、
反対に「叱られてもついていきたい上司」は、
・いざというときは責任をとってくれる。
・日頃から部下の状況や理由をきちんと理解してくれている。
・信頼できる。
・指示が納得できる。
とあります。
「やる気がでた」と感じる叱り方としては、
・仕事のやり方が悪かったとき。
・仕事の質が低かったとき。
・仕事に対する態度が悪かったとき。
と方法や手段、態度、いわゆるプロセスにおいて、自分では気づかなかったことを気づかせてくれたときは叱られてもそれによってやる気を出せるようです。
一方、「意味がない」と感じる叱り方としては、
・結果を出せなかったとき。
・目標を達成できなかったとき。
と、結果のみを取り上げて叱責しては、意欲を低下させ、職場の雰囲気を悪くさせるだけになるようです。
また、全体的にみると、優秀な従業員は叱られることを前向きに考えようとする傾向がありますが、レベルの低い従業員は効果がない、やる気を殺ぐというように考えるようです。
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<ポイント>
多くの管理職は、職場で叱る必要性があると考えていますが、現在の職場事情を反映して叱る頻度は減っています。叱る上司の日頃からの言動によって叱られる部下の納得度は違ったものになり、また、結果のみではなくプロセスについて叱る方が良いようです。
<管理職からの質問>
管理職として自分ひとりでは仕事ができないことを身にしみて感じるようになりましたが、部下に仕事を任せることの難しさも同時に感じています。そこで、改めて「部下に仕事を任せる」とはどういうことか教えてください。
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<解説>
「部下に仕事を任せる」ことは、管理職の重要な仕事の一つです。
管理職には、担当する部署の業務を円滑に進め、期待されている成果を出すという責任がありますが、そのためには部下を管理監督します。具体的には、部下の仕事をチェックして指導をしたり、多少の距離をおいて見守る=任せたりします。この「チェックや指導」と「任せる」は両方とも必要ですが、部下の能力に応じてウエイトの置き方は異なります。初心者や能力の低い者に対しては前者のウエイトが大きくなり、ベテランで能力の高い者に対しては後者が大きくなりますが、いずれにしても「任せる」部分は必ずあります。(「チェックや指導」もどのような部下にも必ず必要です。)
ところで、「任せる」ことと「放任」とは違います。「放任」とは、成り行きにまかせてほうっておくこと、干渉しないことですが、そのような状態では殆どの場合、良い結果が得られません。それは、放任すると部下自身の基準で仕事をしてしまうことになるからです。
また、「放任」は管理職の管理監督責任の放棄です。責任を放棄しておきながら、部下が仕事でよい成果を上げられなかったら怒鳴って部下の責任にする管理職も中にはいますが、それは決してやってはいけないことです。
「部下に仕事を任せる」とは
・部下の能力に応じて、
・任せる仕事を示して、
・上司が期待する水準で成果を出させるよう
・部下に仕事のやり方をある程度任せて
・上司の責任において見守る
ことです。
部下に仕事を任せることで部下は成長して喜びを感じ、また部署の仕事は効率的に運ぶようになるのです。
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<ポイント>
「部下に仕事を任せる」ことで部下は成長して喜びを感じ、また部署の仕事は効率的に運ぶようになります。「放任」とはまったく違います。「放任」は管理職の責任放棄で、決してやってはいけないことです。
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<管理職からの質問>
部下の叱り方を間違えば、パワハラになると聞きましたが、そのようなことにならないようにするためには、どのような点に注意するとよいでしょうか?
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<解説>
部下を「叱る」のは、感情的に「怒る」のとは違うということを前回説明しました。 上司の叱り方が不適切で、あまりにも過剰だと人格を否定しているととらえられ、パワーハラスメントになってしまう可能性がありますので注意が必要です。パワハラへの注意点だけではなく、適切な叱り方をするためには、次のようなことを心得ておくとよいでしょう。
□しかるべきときに叱る [しかるべきときに叱れないと、状況を悪化させることを理解する]
□部下の不適切な言動は、自分(上司)の責任でもあるという姿勢で叱る
□上司は日頃からの言動に一貫性をもって叱る
□もし、誤って叱った場合には、自らの不注意を真摯に反省し、部下に伝える
□個人的な感情ではなく、与えられた組織上の役割として叱る
□結果よりもプロセスを重視して叱る 場合によっては結果が出ていても、プロセスが不適切であったり規律を乱していれば叱る
□事実に基づいて叱る
□部下のレベルに降りて易しい言葉で叱る
□基本的には別室で1対1で叱る
□部下が発言しようとしたときに遮(さえぎ)り、自分の言葉をかぶせて抑え込むような叱り方をしない
□舌打ちをしない
□ため息をつかない
□高圧的に一方的に叱らない
□長時間にわたり叱らない
□人格を否定するような叱り方をしない
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<ポイント>
上司の叱り方が不適切で、あまりにも過剰だと人格を否定しているととらえられ、パワーハラスメントになってしまう可能性がありますので、上司は部下を叱った後、上記のチェックリストを参考に、叱り方が適切であったのかを自身で反省してみるとよいでしょう。
部下の中には、最初やる気満々で取り組み始めるのですが、途中でやる気を失う者がいます。他の部下と同じように面倒を見ているのですが、どうしたらよいでしょう?
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<解説>
動機づけは1度行えばよいというものではありません。
目標達成に向けての取り組みの進捗が遅かったり、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)がなかったり、さらには、当初の目標とは違ったものに興味を示したりすることもあります。この場合、モチベーションが下がっている可能性がありますので、改めて動機づけを行う必要があります。
動機づけ理論は、たくさんあります。代表的なものを挙げると、マズローの欲求段階説、ハーズバーグの動機づけ・衛生理論、マクレガーのX理論Y理論、目標設定理論、期待理論、職務充実理論、選択理論などですが、理論を説明するのが目的ではありませんので割愛します。
また、なにが動機づけになるのかを部下一人ひとりを観察し、それぞれに適した方法を考えながらやる気(モチベーション)が下がらないように働きかけることが必要になります。ちなみに、人が何に動機づけられ、または、どのようにして動機づけられるのか、その要素をいつくか例として挙げておきます。
・現在の仕事の充実感
・報酬
・評価
・地位や権力
・会社への貢献
・社会への貢献
・変化や改革
・他者との競争そのもの
・調和
・挑戦すること
・会社や周囲から期待されていること など
一つだけではなく、いつくかの組み合わせも考えられるでしょう。
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<ポイント>
やる気が高い状態のまま1年間を過ごすという者は殆どいないでしょう。やる気が落ちたときにどのように、改めて動機づけをして、やる気を上げるかは、部下の興味や関心によって異なってきます。よって、部下一人ひとりをよく観察し、それぞれに適した方法で働きかけることが必要となります。
<管理職からの質問>
ビジョンを作成し、周知を図りましたが、次にやるべきことは何ですか?
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<解説>
自部署のビジョンや目標を達成するためには、部下の力が必要です。
その達成を最も効果的なものにしようとするならば、部下の力が最大限に発揮されている必要があります。そのためには、場づくりや適切なポジショニング、権限移譲のほか、本人の動機付けは欠かせません。
動機付けには、単に一人ひとりに課題や目標、または報酬を与えればよいというものではなく、効果的な動機づけを行うためには、次のことを押さえておきましょう。
■動機付けで押さえておくべきポイント
① 動機づけは目標設定のときにする
② なぜその仕事をするかという必要性や重要性を理解させる
③ 目標を達成するために、とるべき望ましい行動や戦術を理解させる
④ 目標を達成したときに、得られる成果や状態を理解させる
⑤ 上司と部下とが②~④について同じ理解である
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<ポイント>
部下に持っている力を最大限に発揮させるには、本人の動機づけは欠かせません。目標設定時に、必要性・重要性、とるべき戦術、得られる成果などを上司も一緒になって理解、確認しておきましょう。
<管理職からの質問>
ビジョンがなんとか完成しました。これでビジョン実現に向かって進めそうですが、なにか注意することはありますか?
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<解説>
ビジョンが完成したら、それで終わりではありません。ビジョンを部下に浸透させなければ実現しません。そのためには、まずビジョンを実現することによって、部下の自分達の利益になる(役に立つ)ことを説明し、納得させることが必要です。
そして、説明は1回ではなく、何度も繰り返して、耳にタコができるほど伝え、部下が自然にそらんずるような状態にしなければなりません。例えば、
・朝礼や部署内の会議などでビジョンを復唱する
・机やカレンダー、パソコンの壁紙などいつも目にするところに掲げておく
・新人の研修内容の中に入れて教育する
・定期的に部下と面談をしてビジョンについての想いを話す など
の取り組みが必要です。
また、ビジョンを浸透させるには、管理職自身の姿勢もひじょうに大事です。ビジョンをどんなことをしてでも実現させるという決意と行動を取ることとそれが部下に見えている必要があります。ビジョンと異なる行動をしていれば、部下は決してついてきませんし、ビジョンも実現しません。
さらに、その前提として管理職として信頼されるような行動をとることが求められます。信頼はすぐには得られるものではありませんが、次のようなことに熱意をもって、真摯に努力していれば、比較的早く部下は気づいてもらえ、信頼を得ることができるでしょう。
①これまでムリだとして取り組んでこなかったことに果敢に挑戦する姿勢を管理職自身が取っている
②①のことをできれば成功させる。ダメでもあきらめずに次の作戦を考え、実現させようと努力している
③誰も手をつけなかった嫌がる仕事に積極的に取り組んでいる
④挨拶、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)という当たり前のことを、あえて部下の見本となるような行動をとる
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<ポイント>
ビジョンが完成したら、部下に浸透させなければ実現はしません。何度も繰り返して説明したり、復唱するなどの取り組みを行い、自然にそらんずるような状態にすることが必要です。また、管理職自身として信頼されるような言動をし、部下に見せなければいけません。
(ビジョン作成の続きです。)部下一人ひとりの能力ややる気は面談をしてつかんだのですが、部署のビジョンを考えると、何かしっくりきません。どうしてでしょう?
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<解説>
部下一人ひとりの能力ややる気をつかむこともひじょうに大事ですが、同時に担当部署全体の業務遂行レベルを把握することも欠かせません。
部下が集合して部署として活動するときに、どのような性格を帯びてまとまるのか、それによって生み出される成果は大きく違ってきます。
例えば、頭数だけの部下が単に集合しているだけなのか、お互い刺激し合って大きな相乗効果が生まれているのか、またはお互い足を引っ張りあっているだけなのか。
この把握や評価は難しいのですが、次のような視点を日常的にもってみておくとよいでしょう。
①ホウレンソウ[報告・連絡・相談]をするときに、どのような話し方をしているのかを確認する。(主体的な考えをもっているのか、相手に頼りきりになっているのか、論理的にまとめられているのか、稚拙なのか)
②会議や打ち合わせなどを行っているときに、議論にどのように参加しているか、どのような傾向の発言をしているかを確認する。
③難しい課題や問題などに取り組んでいるときに、どのように対応しているかを確認する。
①②③のすべてにおいて、部下個々人の対応の仕方をみると共に、同僚のサポートの仕方など部署全体の考え方や動き方もつかんでおくとよいでしょう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<ポイント>
ビジョンを作成するには、部下の能力ややる気をつかむと同時に、部署全体の業務遂行レベルを把握しておくことも欠かせません。報告・連絡・相談の仕方、会議や難しい課題等への取り組み方などから評価してみるとよいでしょう。
<管理職からの質問>
いくつかビジョン案を作ってみたのですが、他の管理職に見てもらうとそれはビジョンじゃないと言われてしまいました。どうすればよいかヒントを教えてください。
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<解説>
自部署の課題や問題が明確になると、それを解消するための手段を考えがちですが、ビジョンは手段ではありません。未来に向かって、こうありたいという想いや夢、展望を示すことです。
これまで(過去)の自部署の成長を踏まえつつ、さらに大きく背伸びをして、これまで届かなかったところになんとか手をかけることができて、求めているものをぐっと引き寄せるようなイメージです。または、「ホップ、ステップ、ジャンプ」の「ジャンプ」で大きく飛び上がるイメージをもってビジョンを考えるとよいでしょう。
簡単に実現できることではなく、自部署全員の力の結集、関連部署や社外の関係機関の協力がなくては実現できないようなものが望ましいと思います。
それを2~3行、文字数にして20~40字程度にまとめるようにしてください。
また、以前にも書きましてが、ビジョンを部下の記憶(脳)に鮮明に残そうとするならば、言葉の言い回しやリズムはとても重要です。いくら素晴らしいことを書いていても、言い回しやリズムが悪いと覚えられません。反対に、多少表現が荒くても、言い回しやリズムがよければ記憶されやすくなりますので、ここにも工夫してみてください。
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<ポイント>
これまで(過去)の自部署の成長を踏まえつつ、「ホップ、ステップ、ジャンプ」の「ジャンプ」で大きく飛び上がるイメージをもってビジョンを考えるとよいでしょう。その際、自部署だけではなく、関連部署や関係期間の協力を必要とするようなものが望ましいと思います。
<管理職からの質問>
blog ビジョン作りの手順 を参考に、自分が担当する職場(組織)をどのような状態にしたいかを書いてみたいと思うのですが、いざ書き出そうとするとなかなか進みません。書き出すためのヒントを教えてください。
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<解説>
まず、自分の部署(自部署)のことを知ること、理解することからはじめてみるとよいでしょう。例えば、次のような項目について簡単にまとめてみてください。1から作らなくても、これまである資料を利用したり、整理したりしてください。
(1) 自部署の成果や課題、問題
・過去の業績や失敗
・改善の成果
・職場の風土や特徴
・他部署や同業他社との比較
・そもそも部署として求められている姿と現状とのギャップ など
(2) 自部署のレベルや能力
・得意分野、不得意分野
・従業員の保有資格
・従業員の構成(男女比、年齢構成、勤続年数、定着率など)
・顧客評価(満足度) など
自分の部署(自部署)のことを知ること、理解するためには、自分の思いだけではなく、客観的にみることが大切です。(1)については、次のような区分で整理するとわかりやすく、また偏らない把握ができるようになるでしょう。
・「3年より前」「3年前~6か月前」「6か月前~現在」
・「自分の考えや評価」「他者(顧客,他部署の管理職や職員,取引業者など)の意見や評価」「数字で示せるデータや資料」
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<ポイント>
ビジョン作りは、まず、自部署のことを知ること、理解することからはじめましょう。(1)自部署の成果や課題,問題、 (2)自部署のレベルや能力について、整理しながら簡単にまとめてみましょう。
自分の職場のビジョンを実際に作成したいと思いますが、どのような手順で作成すればよいでしょう? また、そのときのポイントを教えてください。
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<解説>
ビジョン作りは、次のようにしてください。
① 設定する3~5年先の暦年を書く。例…5年先の2016年
② ①の暦年時の自分の年齢を書く。例…5年先は45歳
③ ①の暦年時、自分の部下がある程度入れ替わる(異動や入・退社など)ことをイメージする。例…部下の5分の1が入れ替わり、若くなっている。
④ ①の暦年時、自分が担当する職場(組織)をどのような状態でありたいかを書いてみる。
・どの領域で
・なにを
・どのように実現している
⑤ ③の内容が上位組織の理念や目的、使命とズレていないか確認する。ズレている場合は、修正する。
⑥ ③の内容に夢や想い、情熱などの言葉がこもっているか、また、シンプルになっているか確認する。そうでない場合は、修正する。
⑦ ⑥の内容を声に出してみる。言い回しがくどいなど、リズムがよくない場合は、修正する。
ビジョンを明確で、誰にでもわかりやすいものにしようとすれば、「○○でナンバー1になる」と設定すればよいでしょう。「○○で」というのは、県内で、市内で、町内で、組織内でなどどのような範囲でも構いませんが、ナンバー2以下ではなく、とにかくナンバー1を目指してください。
また、⑦でも書きましたが、ビジョンを従業員の頭に鮮明に残そうとするならば、言葉のリズムはとても重要です。いくら素晴らしいことを書いていても、リズムが悪いと覚えられません。反対に、多少表現が荒くても、リズムがよければ覚えやすくなります。
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<ポイント>
上記の手順にしたがってビジョンを作成してください。そのとき、「ナンバー1」を目指すことと、言葉のリズムを大事にするとよいでしょう。
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<管理職からの質問>
部署の目標や計画づくりは毎年度作成しているのですが、部下から、どうもコロコロ方向性が変わるので、理解しにくいという意見が出ています。組織の上位方針も多少変更ありますが、私としてはそう大きく変わったとは思っていないのですが、部下には説明をどのように工夫していけばよいでしょうか?
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<解説>
目の前の(短期的な)ことだけにとらわれず、3~5年先の(中期的な)方向性をイメージとしてもっておくことはひじょうに重要です。一般的に「ビジョン」と言われるものです。ビジョンには法人(会社)レベルのビジョンもあれば、事業部門レベル、部署(課)レベルのビジョンもあります。
下位のビジョンは、もちろん上位のビジョンと整合性が取れていなければなりませんが、下位になればなるほど、自分が所属する部署の業務に直結したものになりますので、イメージが鮮明になるでしょう。
ビジョンは、組織の理念や目的、使命をベースに作成されます。方針と同義と考えられる方もいますが、ビジョンはよりイメージ化し、わかりやすくしたものと考えてもらうとよいでしょう。夢や想い、情熱などの言葉を込めた表現で示し、部下から共感が得られるように工夫してみてください。
ビジョンを作ることによって、判断がブレにくくなり、また部下を統率しやすくなります。
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<ポイント>
目の前のことだけにとらわれず、3~5年先の中期的に目指したい部署の姿をイメージできるようにビジョンを作成しましょう。それには、夢や想い、情熱などを込めた表現で部下から共感を得られるように工夫してください。
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管理職の役割はわかりましたが、具体的には何から理解し、また実践するとよいのでしょうか?
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<解説>
複数の従業員が集まって仕事をする理由は、人数分以上の効果(相乗効果)を期待するからです。相乗効果をより大きなものにするには、全員が一定の方向に向かい、さらに協力していることが必要です。個人個人がバラバラのことをやっていてはいけません。
そのためには、管理職は部署がどのような姿になるべきかを部署の従業員全員に共有させ、その方向に導いていくことが大切です。
そこで、その任務を果たすために、押さえておくべきポイントを説明しましょう。組織の「理念」を基に「目的」や「使命」「方針」を明確にし、「目標」を定めて「計画」を具体化します。意味は次のとおりで、これをブレークダウンといいます。
・理念…組織が存在する根底にある根本的な考え方
↓
・目的…組織として成し遂げようと目指す最終的なゴール
↓
・使命…組織または部署として果たすべき任務
↓
・方針…組織または部署として目指す方向性、活動を進めるうえでの判断の基準
↓
・目標…部署として達成すべき具体的なゴール、目的を達成するために設けた目印じるし
↓
・計画…部署として目標達成に向かって方法や手順など実施することを決めておくこと
これは、どんなに大きな組織でも、小さな組織でも考え方は、基本的には変わりません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<ポイント>
管理職として部署がどのような姿になるべきかを部署の従業員全員に共有させ、その方向に導いていくために押さえておくべきポイントは「理念」「目的」「使命」「方針」「目標」「計画」です。
進創アシスト 鷹取...