人事コンサルタント鷹取が贈る「人事評価・労務管理・人材育成」入門

◆部下の人事評価・労務管理・職場のマネジメントに必要な考え方やツール、情報をピックアップしてお届けします。 ◆特に、医療・福祉分野の方向けにまとめていますが、一般企業の方にもぜひ参考としていただければ幸いです。 ◆担当は、人事総務部サポーター・現場管理職サポーターでアンガーマネジメント・ファシリテーターの『人事コンサルタント鷹取 人事マネジメント研究所 進創アシスト 代表』より。 【無断転載・無断複写禁止】

残業

ホンマでっか!?「残業頑張っても評価変わらず…社員と認識にずれ/読売新聞」

ワーク・ライフ・バランスに関する 個人・企業調査/内閣府
という記事がでていました。


元々の資料
この調査結果から、「残業頑張っても評価変わらず」と報道しているが、本当でしょうか?


設問「社員が残業や休日出勤をほとんどせず、時間内に仕事を終えて帰宅すること」に、
企業側の74%が「人事評価では考慮されていない」と
回答しているのであって、残業を頑張っていることが評価されないと読むのはおかしい。
また、「時間外に仕事を終えて」という前提のため、なおさら。

もちろん、成果の伴わない、単なる残業代目当ての残業等はマイナス評価すべきですが、責任をもって業務にあたる中で残業をしている社員を、企業側がプラス評価していないということではないでしょう。

ただ、残業対策に、企業側としてももっと工夫すべき点はあります。それは、調査結果からも理解できますので、参考にしてください。

なお、内閣府調査の設問の表現に「回答しにくい」という問題性も感じることを付け加えておきます。

以上、あくまでも個人的な意見です。


お付き合い残業も見逃してはいけません

<管理職からの質問>
管理職の困った顔 ダラダラ残業のほかに、お付き合い残業もあると聞いたのですが、どのような残業で、注意すべきことはなにでしょうか?
 
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<解説>
社労士 お付き合い残業とは、自分の仕事は終了しているのに、残業している同僚を待つために急ぎでもない仕事を敢えて残業としてやることを指します。
 
 例えば、同僚と夕食の約束をしていたところ、同僚に急な仕事が入り1時間残業をしなくてはいけなくなったときに、自分の仕事は既に時間内に終了しているにもかかわらず、同僚にお付き合いして1時間の残業をするようなケースです。このお付き合い残業は、そのときに行なう必要はないのですが、1時間ただ待つだけではもったいないということで、残業代を稼ごうと考えているのです。
 お付き合い残業
 お付き合い残業で行なった明日の仕事は1時間分減るかもしれません。その減った分を他の仕事に積極的に着手し取り組んでくればまだいいのですが、多くの場合仕事にゆとりができたために、ダラダラ仕事になってしまい、結局生産性は残業をしてもしなくても同じという結果になってしまうのです。したがって、お付き合い残業の1時間の残業代だけ会社の負担となってしまいます。
 
 お付き合い残業をする部下の中には、仕事に少しでも早く取り掛かっておき、ミスがないよう完璧に仕上げたいという理由をつけてくる者もいるでしょう。しかし、仕事には標準的な処理時間というものがあります。完璧に仕上げるために、どんなに時間を使ってもよいというわけではありません。この標準的な時間を管理職としてはもっておくことが必要です。管理職になったばかりだとしても、ある程度は予測ができるでしょう。もし、予測ができないのであれば、前任者であったり、職場のリーダー格の部下や人事部なりに聞けば、ある程度の時間数はつかめるはずです。
 
 お付き合い残業への対処のし方は、基本に戻りますが「本人からの残業の事前申請と上司による事前承認」です。残業が必要ないと判断すれば、一旦タイムカードを押させ、仕事場とは違うところで待たせるべきでしょう。
 
 
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<ポイント>
! 自分の仕事は終了しているのに、残業している同僚を待つために急ぎでもない仕事を敢えて残業としてやるものをお付き合い残業といいます。お付き合い残業をして前倒しで仕事を行なったとしても、翌日にダラダラ仕事をすれば生産性は変わらないでしょう。やはりその時間に必要のない残業は認めないようにすることがポイントです。
 
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<他社に学ぶ>
他社から学ぶ ある会社で労働時間の管理方法の見直しを検討していたとき、同じ職場の2,3人の打刻時刻がほぼ同じタイムカードを発見しました。仕事の内容が違うにもかかわらず、見事といっていいほど、揃っての退社。残業の申請も出ており、お付き合い残業が間違いないのですが、それまで何も手をつけていなかったため、相当な残業代を支払っていたと考えられます。
 
 
 
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ダラダラ残業防止(その2)

<管理職からの質問>
管理職の困った顔 私も結構忙しくて終業時刻に職場にいないことが多いため、ダラダラ残業に対してきちんと指導できるか不安です。どうすればよいでしょうか?
 
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<解説>
社労士 ダラダラ残業を防ぐためには特定の部下だけではなく、職場全体に向けても残業対策に取り組むことが必要です。次のような対策は職場全体の残業も減らす効果があるといわれています。
 
⇒チャイム…帰りやすい雰囲気を作るためにチャイムを鳴らすことで帰るきっかけにします。
⇒終礼…終業時刻になったときに終礼を行い、残業を行う者にはその場で残業の予定時間と内容を確認します。
⇒休憩時間…終業時刻と同時に休憩時間を入れてから残業に取り掛かるようにします。休憩を入れることで一旦業務の手を止め、以降が残業だと意識させ、メリハリをつけて業務処理のペースをアップさせるのです。
 ダラダラ残業防止(その2)
 管理職として一番やってはいけないことは、ダラダラ残業を放置・放任することです。放置・放任することは、部下の自分勝手な仕事の仕方を認めることになり、そして、その延長線上には職場の規律を崩壊させることにつながります。
 
 「管理職は忙しいので、いちいちそんなことはできない」という意見もあるでしょう。終業時刻に常に上司がいるわけではありませんので、その意見も理解できないわけではありませんが、管理職のほかに次席の者やリーダー格の者と一緒になって対策に取り組むことは可能ではないでしょうか。
 
 そのときのポイントは、残業に関するルールを明確にすることです。それを管理職が部下全員に十分周知し、指導をしましょう。こうすれば次席やリーダー格の者も対策に取り組みやすくなります。
 
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<ポイント>
! ダラダラ残業を防ぐためには特定の部下だけではなく、職場全体に向けても残業対策に取り組んでみるとさらに効果があります。そのときのポイントは残業に関するルールを明確にし、次席や職場のリーダー格の者とも一緒になって対策を進めることです。
 
 
 
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ダラダラ残業に残業代を払いたくないのですが

<管理職からの質問>
管理職の困った顔 夜遅くまで残業を行っている社員がいます。特に急ぎの仕事はなく、ダラダラと仕事をすることで残業代を稼ぐためだと思われますが、そのような残業に残業代を支払いたくありません。どのように対応すればよいでしょうか?
 
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<解説>
社労士 ダラダラ残業にまで残業代を払いたくないという気持ちはわかりますが、労働基準法では労働の成果ではなく、労働の時間数に対して賃金を支払うという考え方であるため、ダラダラ残業であっても、その時間に対して残業代を払う必要があるでしょう。
 
 ダラダラ残業が会社や職場に及ぼす悪影響としては次のようなことが挙げられます。
● 経営の圧迫…本来ならば不必要な残業代(人件費)が経営を圧迫することがあります。
● 能率の低下…本人だけではなく周囲の従業員の能率も低下させます。また、職場風土も悪化させます。
● 長時間労働…労働の密度が低くても労働時間が長いため過重労働と見られ、その従業員に死亡事故や重度障害が残るような事故が起こった場合には会社の責任が問われる可能性が高まります。
ダラダラ残業 
 悪影響を断ち切るためにダラダラ残業を止めさせなければなりません。そのための対策としては、
⇒ 残業の必要性の事前確認
⇒ 残業内容の事後確認
⇒ 業務の予定終了時刻以降の就業禁止、強制帰宅(帰宅命令)
などが考えられます。また、
⇒ 残業時間中だけではなく、所定労働時間中の業務内容や能率の確認
⇒ 業務の目標時間または期限の設定
⇒ 能率が悪い場合は指導や教育の実施
⇒ 人事評価における能力の評価
などもあわせて実施するとよいでしょう。
 
 なお、当然のことですが、きちんとした業務や仕事の仕方の把握をせず、本人の能力に関係なしに、ただ単に会社の経費節減のために表向き残業を禁じまたは抑制して、実質的にサービス残業を求めたり、自宅での持ち帰り残業を強要するようなことではいけません。
 
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<ポイント>
! 労働基準法では労働の成果ではなく、労働の時間数に対して賃金を支払うという考え方であるため、ダラダラ残業であっても、その時間に対して残業代を払う必要があるでしょう。ダラダラ残業は会社や職場に悪影響を及ぼしますので、止めさせなければなりません。具体的な対策を講じてください。
 
 

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部下が勝手に残業したときに残業代を払わなければならないのか?

<管理職からの質問>
管理職の困った顔 仕事量としては以前とあまり変わらないのですが、私の部署では最近残業が増えてきました。残業のルールは特に決めておらず、部下の判断で残業をしているのですが、これでよいのでしょうか?
 
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<解説>
社労士 残業は基本的に上司の業務命令で行なわせるべきものです。したがって、部下が勝手に残業をした場合、上司の業務命令ではないので、残業代を支払う必要はなさそうに思えます。
 
 しかし、上司の暗黙の了解の中で残業をしていたり、了解はしていないものの部下が所定労働時間を超えて仕事をしているのを上司が知っていながら放任していた場合には話が違ってきます。
 
 部下が勝手に残業したとしても、残業中に行なっていた仕事が直接業務に関係し、その残業によって会社が成果(利益)を受けていた場合や、残業をやらざるを得ない状況にあったなどの客観的な必要性が認められる場合は、会社は残業として扱わなければならないでしょう。
 
残業は業務命令で そこで、部下の勝手な残業や自主的な残業を認めたくなければ、上司から「その残業は不要だ」ということを明確に伝え、止めさせなければなりません。
 
 また、部下自身が残業が必要であると判断したときの残業の基本的な取り扱いは、
  ①部下からの残業事前申請と上司による事前承認
  ②残業終了後の部下からの残業報告(申請)と上司による事後確認(承認)
です。これは原則としてその都度行なう必要があります。1週間や1か月単位でまとめて処理を行なうのでは、形だけのものになってしまい、結局暗黙の了解と同じことになります。また、日にちが経ってから上司が認めないと判断したときには、トラブルになる可能性が高まるでしょう。
 
 この確認作業や事務処理が面倒だと思われるかもしれませんが、これが労務管理の基本です。上司があいまいな態度で判断をしなかったり、または無責任な対応をしてしまうととトラブルに発展してしまいます。
 
 
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<ポイント>
! 残業は基本的に上司の業務命令ですが、部下が勝手に残業したとしても上司暗黙の了解の中で残業をしていた場合などは残業として扱わなければならなくなります。部下の勝手な残業を認めたくなければ、残業の事前申請及び事後確認(承認)は欠かせません。
 
 
 
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残業を命ずるには根拠が必要

<管理職からの質問>
困った顔_ 先日、インターネットで残業のことを調べていたとき36協定が必要と書かれていました。私はこれまで残業について深く考えずにやってきましたが、部下に残業をさせるには、そのような協定が必要なんでしょうか?
 
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<解説>
70be946f 「残業は当たり前で、部下は当然やらなければならない」と考えている管理職もおられるのではないでしょうか。特に、残業が恒常的にある会社では先輩からそのように教えられてきたものと思われます。
 
 しかし、部下に残業をさせるには、次の要件が必要です。
・まず、時間外労働・休日労働に関する協定(36協定、「サブロク協定」と一般的にはいわれています)を会社と労働者の代表との間で結び書面にして労働基準監督署に届け出ていること
・そして就業規則に残業を命ずることがある旨規定されていることが必要です。
 
残業命令の根拠 これは人事部や総務部の仕事ですので、現場の管理職の方が直接携わることは少ないと思われますが、これら要件が必要であることを管理職としても理解し、またきちんと整備されていることを確認しておいてください。
 
 もし、部下が残業を拒否したときに、単に「残業は当たり前」「残業は社会人として常識だ」というだけでは適切な対応とはいえません。きちんと根拠を示して残業をさせることが必要です。それでもなお残業を拒否する場合は、服務規律に反していますので注意、処分の対象となるでしょう。
 
 なお、36協定には残業時間数の上限が示されていますので、その上限時間を超えて残業を命ずることはできません。また、誰でもできる仕事を特定の部下だけに長期間、長時間にわたりやらせるなどの適切性を欠く残業命令は認められないこともありますので注意してください。
 
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<ポイント>
! 残業を命令するには、36協定の締結と届出、就業規則の規定が必要であるという前提を理解、確認し、その根拠に基づいて命じてください。
 
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<他社に学ぶ>
BlogPaint 残業を拒否した部下を業務命令違反として処分したところ、従業員は処分は不適切だとして労働基準監督署に駆け込みました。監督署が調査したところ会社には上記要件が整っていないことが判明し、不適切な扱いだという指摘を会社は受けてしまったのです。監督署や労働局への相談は年々増加していますので、根拠をきちんと確認しておきましょう。
 
 
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