感情表現は難しい!? 
喜怒哀楽という言葉は知っているが、うれしい、ムカついた、かなしい、たのしい程度。それでは単純すぎると思うことがよくある。感情には濃淡があったり、深い浅いがあったりするのに、それを納得するようにつかめていないし、表現できていない。自分の感情を表現するのは難しいと思う人が少なくない。
なぜか、感情を口にすると「大人げない」「ものわかりが悪いと思われる」「そんなことで怒ってはダメ」「言うと周りに迷惑をかける」そんな習慣が自然とついている。
確かに、そういう場面も必要なことはある。しかし、すべての場面で感情を抑え込み続けていると、自分の感情がわからなくなり、言葉が出なくなる。
 
精神的ストレスは高まっている 
仕事柄、つらいときにつらい顔ができないなど自分の感情を抑制せざるを得ない人もいる。医療や福祉の従事者などは感情労働者と言われ、その典型だ。
しかし、飲み込んだ気持ちがどこかにいったり、消えたりすることはほとんどなく、「まあいいや」が溜まりに溜まって爆発することも少なくない。爆発したことで後悔し、自分をさらに追い込んでしまうという悪循環に陥り苛まれたりする。感情を抑制することによる精神的ストレスは非常に高まっている。
 
感情はまずは身体反応から 
自分の感情をつかみ、表現することが注目されはじめているが、感情は生理的な現象で、コントロールできるのは、感じた上でどう対処するのかなのだ。感じることそのものをコントロールすることはできないと科学的に証明されるようになってきた。ということはまず、身体に起きている反応をしっかりつかむこと。
例えば、私の身体は今こんな状態なんだということを自覚する。その反応は善し悪しではない。そして、身体の反応を正しく言葉にしてみる。「肩に力が入っている」「目線が上げられずうつむいている」という状態でもいい。言葉が上手く出てこなければ、オノマトペでもいい「ドキドキする」「カッとなっている」とにかく表現してみる。
感情を理解するには、まず自分の身体の反応に正直になること。そこに嘘をついてしまうと、感情に蓋をしてしまうことになる。そして、落ち着いてから当てはまりそうな言葉を探すという順だ。
それができたら、家族や友人など話しやすい人に出来事を話してみよう。そのときに、身体がこんなふうになった、反応したというところからはじめ、気持ちを伝える。
感情に誠実になる、そのトレーニングだ。