<管理職からの質問>
20歳代の若手の従業員の中には、学校で勉強してきたのでしょう、自分のキャリア形成についてしっかりした考えを持っている者がいます。私たちの頃にはそんなことを考えていなかったので羨ましく思う一方、その考え方に固執してしまい指導に困ることがありますが、どう対応すればよいでしょうか?
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<解説>
入社時の資質の印象について、興味ある調査結果があります。(*)
主に20歳代では「会社内で業務に取り組む中で自らのキャリアが高まると考える」よりも「自らのキャリア形成や職業生活設計に関心が高い」の方が割合として高いという結果です。これが30歳代以上では割合が逆転し、さらに年齢が高くなると前者の割合が大きな割合を占め、後者は少なくなります。
自らのキャリア形成等に関心が高いことはいいのですが、現実として考えると自分が思い描いているような道筋をその通りには殆ど進めません。そのときに、挫折を感じてやる気を失い、最悪の場合は離職という決断をしてしまうことになります。
そうならないために、キャリアというものを中長期的に考えさせる癖をつけさせることが大事でしょう。5年位先の自分のありたい姿を描かせつつ、当面の課題に挑戦させるようにしてください。職業経験の浅い時期は、当面の課題への取り組みを通して仕事への基本的な取り組み方や社会的なルールを身につけることが将来のキャリアに役立つことを説明し、理解させることが必要です。
当面の課題に取り組む時には、日常の報連相が大切なことはいうまでもありませんが、3か月または半年に1回程度は1対1の個別面談を行ってキャリアに対する前向きな考え方を失わせないようにしておきましょう。場合によっては、考えていたキャリアの内容が変わってくることもありますが、それを最初から否定せず話を聞いてあげてください。会社の業務に沿った内容になるかもしれません。後ろ向きな考え方になっているのであれば、軌道修正させるようにしてください。
(*)入職初期のキャリア形成と世代間コミュニケーションに関する調査/労働政策研究・研修機構
http://www.jil.go.jp/press/documents/20110620.pdf
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<ポイント>
主に20歳代では「自らのキャリア形成や職業生活設計に関心が高い」が高いようです。しかし、現実的には思い描いているキャリア通りに進むわけではなく、思惑とは違っても当面の課題に取り組み、挑戦しなければなりません。そのときに、中長期的な視野を持たせつつ、基礎的な力をつける時期であり、それが将来的にキャリアにいかされていくことを説明し、理解させることが必要です。