<管理職からの質問>
管理職の困った顔 前任者から勤務シフトの作成を引き継いだのですが、前任者は休日を月半ばの業務に比較的余裕のある時期にまとめて与えるようにシフト組みをしていましたが、それでよいのでしょうか? 疑問に思いましたので、しつもんをさせていただきます。なお、私の勤める事業所は1か月単位の変形労働時間制を採用しています。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<解説>
社労士 1か月単位の変形労働時間制であったとしても、1か月間の労働日を自由に設定してよいということではありません。
 
 例えば、月末・月初がかなり忙しいため、その期間は連続して働かせ、業務に余裕が出てくる月半ばに連続して休日を与えるという勤務シフトを見かけることがありますが、これは適切とは言えません。
1か月変形労働_週1回の休日 
 休日の与え方として、労働基準法第35条には、「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」となっていますので、1か月単位の変形労働時間制を採用していたとしても、毎週1回は休日としなければならないのです。もし、週内に1日も休みを取らせずに働かせた場合は、少なくとも1日は休日勤務として割増賃金を支払わなければなりません。
 
 なお、労働基準法の同条第2項に「4週間を通じ4日以上の休日を与える」ことができる旨の規定がありますので、これを利用すればよいと考えがちです。しかし、このルールを用いようとする場合は、就業規則にその定めが規定されていなければなりません。また、4週間という考え方は、通常の賃金の支払い期間(1か月)と異なりますので、休日と賃金計算における管理の期間が異なります。この整合性をとる工夫が必要になってきますので、安易に「4週間4日の休日」を利用するという取り扱いは避けてください。
 
------------------------------------------------------------
■労働基準法
第32条(労働時間)
1 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。 
2 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。 
 
第32条の2(1か月単位の変形労働時間制)
1 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、1箇月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が前条第1項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。 
2 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。 
 
第35条(休日)
1 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。 
2 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。 
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<ポイント>
! 1か月単位の変形労働時間制であっても、毎週少なくとも1回の休日を与えなければなりません。1か月内で自由に労働日を設定できるわけではありませんので、くれぐれも注意をしてください。
 
 

◆具体的な事例を用いたオーダーメイドの労務管理研修は、ご好評をいただいています◆
 人事評価などの人事制度や規則・規程は現場の管理職が十分に理解し、使えなくては適切な労務管理、人事管理はできません。
 管理職が不適切な対応をしていたため、又は対応をしなかったために、職場に不満を募らせたり、防げる問題に火をつけ炎上させてしまったりするケースを多数見てきました。そのようなことが起きないよう、弊社では管理職を対象とした研修をオーダーメイドで行なっています。
 中堅企業から小規模事業所まで、管理職の人数やレベルに応じて、具体的な事例を参考に、わかりやすく、現場で活用できる労務管理の方法をレクチャーします。お問い合わせは、お気軽に下記までご連絡ください。
  
 mail:shinsou-assist@goo.jp   tel:090-3269-7712
 人事マネジメント研究所 進創アシスト 鷹取敏昭
(人事コンサルタント 社会保険労務士 社会福祉士)
 
にほんブログ村 経営ブログ 人事・総務へ
人気ブログランキング