<管理職からの質問>
管理職の困った顔 台風が近づいており、交通機関の乱れが予想されます。遅刻者などが出てきた場合、労務管理上、どのように取り扱えばよいのでしょうか?
 
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<解説>
社労士 台風のときに交通機関が乱れ、延着したため、遅刻してしまうということは予想されることです。本人にとってはやむを得ない事情であると言えます。
  
 台風などのやむを得ない事情と判断できる場合は、遅刻の取り扱いをせず、出勤の取り扱いをする会社が多いのではないでしょうか。
 
 しかし、1,2時間の遅刻の場合ならまだよいのですが、まったく出勤できないというケースも考えられるでしょう。その場合に、同じように出勤扱いしてもよいのかという問題が出てきます。
台風で遅刻した 
 また一方では、台風の中でも出勤したり、勤務している従業員もいることでしょう。通常の業務ができない状況であるとしても、その者達には負担がかかっていることも事実です。やむを得ない事情があるとしても遅刻者や欠勤者に通常の賃金を支払うことは、不公平を感じさせてしまうことにもなります。
 
 いろいろなケースが考えられますが、
①出勤者に理解が得られれば、遅刻の取り扱いをせず、出勤していたものとして取り扱う。なお、終日出勤できない者(欠勤者)については、後日年休取得の手続きをさせて、こちらも不利な取り扱いをしない。
②出勤者に十分な理解が得られなければ、基本原則「ノーワーク、ノーペイ」の考えに基づき、遅刻や欠勤に対しては賃金を支払わないこととするが、事後の届出になっても従業員から年次有給休暇(時間単位年休)の申し出があれば認めて、不利な扱いをしない。
というような方法が考えられますが、①②いずれの場合も年休を使いたくない、または年休が使えないという従業員が出てくることも予想されますので、これらの者への対応方法を予め考えておく必要があります。
 
 いずれにしても会社でどのように取り扱うかを決め、統一しておかなければなりませんが、やむを得ない事情であることに変わりはありませんので、不利な扱いをしないようにしておくことが望ましいでしょう。
 
 
 また、そもそも論で考えれば、遅刻等の取り扱いだけではなく、業務そのものへの影響も大きいため、従業員ときちんとコミュニケーションをとって、危機管理時における協力体制を築いておくことが大事です。
 台風対策をあらかじめ講じておき、従業員の一部を近隣に宿泊させたり、勤務シフトを変更したりするなど事前にできることを十分にやっておくことで、従業員の理解は得られるようになるものと思われます。
 
 
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<ポイント>
! 台風の影響で遅刻してきた場合は、出勤していたものとして取り扱ったり、事後に本人から遅刻時間分または欠勤に対して年休の申し出をさせるなどの取り扱いが考えられます。いずれにしても会社でどのように取り扱うかを決め、統一しておかなければなりませんが、やむを得ない事情であるため、不利な扱いをしないようにしておくことが望ましいでしょう。
 
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