人事コンサルタント鷹取が贈る「人事評価・労務管理・人材育成」入門

◆部下の人事評価・労務管理・職場のマネジメントに必要な考え方やツール、情報をピックアップしてお届けします。 ◆特に、医療・福祉分野の方向けにまとめていますが、一般企業の方にもぜひ参考としていただければ幸いです。 ◆担当は、人事総務部サポーター・現場管理職サポーターでアンガーマネジメント・ファシリテーターの『人事コンサルタント鷹取 人事マネジメント研究所 進創アシスト 代表』より。 【無断転載・無断複写禁止】

評価期間

評価結果を処遇に反映させる(3) 成果主義

困った顔_
 人事評価を処遇に反映させるというと成果主義という言葉を思い浮かべるのですが、そもそも成果主義とはどういうものでしょうか?
 
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 人事評価の結果を処遇に反映させる仕組みは、成果主義に限ったことではありません。年功主義や能力主義のときも、人事評価の結果を処遇に反映させていました。
 
人事制度の変遷 1991年にバブル崩壊が起こって以後、先行きが見えなくなった上、国際競争も激しくなったために、企業は業績を否が応でも強烈に意識しなくてはならなくなりました。それは同時に、人事評価制度においても“業績に対する貢献を重点的に評価する”ことが求められ、その結果を処遇につなげるかたちをとったのです。これが成果主義人事制度の特徴です。
 
 なお、業績にかかわらず処遇だけは上がりつづける年功主義や能力主義の人事制度(*)を改革し、若くても思い切った処遇ができるような仕組みで、活力をもたせようという理由もありました。
 
(*) 能力主義の人事制度は能力の評価が定性的な評価判断に頼ることになり、客観的なものになりにくいため、結果的に年功主義的な特徴を強く残したとも評されています。
 
 成果主義人事制度は業績や成果という結果を強くイメージさせ過ぎたため、従業員は「自分さえ業績がよければいい」という個人主義に走り、組織内のチームワークや組織間の連携を軽視することにつながったといわれています。また、部下や後輩の人材育成に時間を割かなくなり、中長期的視点からみても組織が弱体化してくるという弊害が生じたため、成果主義人事制度の見直しが行われるようになってきています。
 
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<ポイント>
! 成果に偏りすぎる人事評価は、過度な個人主義を生み出し、チームワークや組織間連携を弱めることになります。もちろん、成果も大切ですが、それ以外にも仕事のプロセスや後輩の指導教育、職場内のコミュニケーション、部門・部署間の連携など、部下に期待する姿をバランスよく示して取り組ませることが必要です。
 
 
 
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評価結果を処遇に反映させる(1)

困った顔_
 人事評価の結果を給与や賞与に反映させることになると思いますが、その考え方に間違いはありませんか?
 
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 そうです、人事評価の結果は昇給額や賞与額、昇(降)格などの処遇に反映させます。このことについてもう少し深く考えてみましょう。
 
 もし、この活用をしないとどうなるでしょうか?
 「頑張っても頑張らなくても処遇は皆同じ」であれば、「頑張らない」という考え方に従業員はなるでしょう。
 
 確かに処遇だけが従業員の頑張りを引き出す条件ではありません。例えば、お客様の喜ぶ姿を見るために、会社の成長発展のために一生懸命頑張る従業員はいます。
 
評価を処遇に反映させないと しかし、その頑張りに対して、人事評価の結果が良いだけでは、モチベーションは長く続きません。頑張った従業員と頑張りが足りなかった従業員との間に差が明らかにあるにも関わらず、その差を具体的に示していないからです。
 
 また、会社は頑張っている従業員には新しい仕事や難しい仕事をやらせるようになります。そこで、時にはその仕事を失敗してしまうこともあるでしょう。そのとき叱責を受けたり、責任を取らされたりすると、それまで頑張ってきた従業員は「頑張って損をした」と思うようになり、その後は頑張らなくなってしまいます。頑張らずに無難なことだけをしている方が叱責を受けたり、責任を取らさせることはありませんから。
 
 そのような状態に陥らないために、人事評価の結果の差、頑張りの差を処遇に反映させるのです。このように人事評価の結果に緊張感を持たせて、頑張る従業員を増やしていく(=頑張らない従業員ばかりを作り出さない)ようにすることが大切です。
 
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<ポイント>
! 「頑張った従業員が損をする」ということがないように、評価結果を処遇に反映させ、緊張感を持たせましょう。



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人事評価の流れ(ステップ)3 期末~[次期]期首

困った顔_
 今期の評価が終了すれば、その後は何をすればよいのでしょうか?

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 今期の評価が完了すれば、その内容や結果を次期の評価にいかしましょう。

ステップ3
 「部下」は上司と期末評価の中で話し合った今期の課題に対するプロセスや結果について、自ら反省し、それを次期の課題にいかします。
 一方「上司」も部下の今期の課題に対するプロセスや結果について、指導・支援する上司の立場から反省し、それを次期にいかします。
人事評価制度_「評価期間における全体手順③」
 期末の評価が完了すれば、その結果や内容をすべてリセットして、新たにゼロから次期の課題を設定するのではありません。もし、そのような考えて進めてしまうと、今期に取り組んだことがムダになってしまいます。

 また、「会社」は全部門、全従業員の今期の評価が完了すると、その結果を総括し、次期の事業計画や目標に役立てます。そして、新たに設定された事業計画や目標をもとにして、部下は次期の課題設定を検討し、上司も次期の部下に取り組ませる課題を検討します。


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<ポイント>
!
 今期の評価を部下も、上司も役立てることが大切です。そう、PDCAを回してください。


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人事評価の流れ(ステップ) 期中~期末

困った顔_
 部下の今期取り組む課題が設定できれば、後は部下に任せて、1年間頑張ってもらえばいいですよね。
 
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 ちょっと待ってください。その考え方は、改めてください。その説明は、人事評価の流れ(ステップ)を確認しながらしましょう。

ステップ2
人事評価制度_「評価期間における全体手順?」 期首(期間のはじめ)に今期の課題が設定できれば、部下職員がその課題に取り組み、期間内に目標達成できるように努力します。このとき上司は、部下に任せっきり、放ったらかしではいけません。部下の課題への進捗を確認し、必要に応じて指導・支援を行うことが大切です。課題達成のために取り組み方の修正を必要とする場合は、早めの指示や指導が必要だからです。1年近く経ってから「ここは悪い、あそこはダメ」と言われても、時間を遡ることはできません。

 期末(期間のおわり)になると部下は、会社が作成した人事評価シートに従い今期の課題に対する自己評価を行います。

 一方、上司も同様の人事評価シートに従って部下の評価を行います。

 そして、上司と部下とがそれぞれの評価について、面接の場をもち、今期の課題に対する取り組みについてまとめ(総括)を行ないます。

 部下に自己評価をさせますが、それはあくまでも上司が参考にする程度であって、部下の自己評価をそのまま評価結果とするわけではありません。前回にも書きましたが、人事評価はあくまでも会社や部門の人事マネジメントとして活用しますので、上司の評価を原則として用います。

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<ポイント>
! 期末になればそれぞれ上司評価、自己評価を行いますが、期首から期末までの間、部下に任せっきりではいけません。進捗を確認し、必要に応じて指導や支援を行なってください。


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 管理職である上司はプレイングマネージャーであることが殆どで、部下の指導や支援、面接をしている時間はないとよく言われます。実際、私とお付き合いのある多くの会社でそうでした。また、私自身も部下を持つ立場にあったときは同じ考え方でした。しかし、景気が思わしくない状況の中においても高業績をあげている部門に共通している特徴は、管理職が忙しい中でも部下の指導・支援、面接をきちんと行なっていることです。長い時間をかけているわけではありません。短い時間でポイントをついて端的に指導・支援を行ない、また部下も報告や相談の仕方がひじょうに上手い。なぜそのようなことができるか、それは課題が極めて明確だからです。ぼやけていたり、ブレていたりしません。



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人事評価の流れ ステップ1(期首)

困った顔_
 人事評価の考え方については、だいたい理解できたと思いますが、管理職として実際にやるべきことを時間的な流れに沿って教えてください。

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 では、人事評価の流れ、1年間のステップをみてみましょう。

人事評価制度_「評価期間における全体手順①」 添付図をご覧ください。(図をクリックすると大きく表示されます)
図の左側の矢印は部下側でやるべきこと
図の右側の矢印は管理職である上司側でやるべきこと
図の真ん中にあるのは両者の話し合いやその結果、または会社のやるべきこと
を示しています。


ステップ 1人事評価制度_「評価期間における全体手順①」
 まず、管理職である上司は会社の人事評価制度のしくみや評価内容について理解した上で、今期取り組ませる部下の課題を検討しておきます。

 一方、部下も会社の人事評価制度のしくみや評価内容について理解した上で、今期取り組む自己の課題を仮設定します。

 そして、上司と部下とがそれぞれ検討し、仮設定した課題を面接の場で出して話し合い、調整の上、今期の課題を正式に決めます。これを期首(期間のはじめ)に行います。

 部下自らに取り組み課題を検討させますが、それが部下の好き勝手なものではいけません。人事評価は、あくまでも部下を期待人材像へ導くために活用しますので、その部下の現在の職務内容や能力、モチベーション等に適したものでなければなりません。かといって、上司が一方的に課題を与えると部下はやらされ感ばかりを感じてしまいますので、モチベーションを高めるためにも部下の検討した課題を尊重する必要があります。上司は、この両者のバランス感覚と説得力が必要となります。

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<ポイント>
! 評価期間のはじめ(期首)に、部下が今期取り組む課題について、上司と部下が面接を通じて決めます。このとき部下の現在のレベルに適した課題設定をしてやることが、上司としての役目です。



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期待人材像は、中長期的な姿

困った顔_
 期待人材像のことは何となくわかりました。では、それに示されている内容を部下にそのまま取り組ませればよいのでしょうか?

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 期待人材像に向かって従業員は努力し、上司は部下を導きますが、それを実現する期間の長さによって課題への取り組み方は変わってきます。5年先や10年先、20年先の姿を想定しているのか、1年先の姿を想定しているのかで、当然違います。
人事評価制度_「期待人材像と期間の関係」
 通常、人事評価の期間は1年です。部下に1年先に達成してもらいたい課題を設定し、取り組ませます。

 しかし、期待人材像は1年という短期のものではなく、中長期的な将来の姿を示していると考えてください。そして、その将来のあるべき姿に近づくためには、この1年間どのような課題に、どのように取り組んでいけばよいかを決め、部下にやらせると考えていただければよいでしょう。将来の目標を基にブレイクダウンさせた課題に取り組ませるのです。

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<ポイント>
!
 期待人材像は中長期的な将来の姿を示しています。その姿に向かってキャリアアップしていくために、この1年間に取り組む課題と方法を具体化させます。そして、実際に取り組ませ、その結果を人事評価として利用すると考えてください。



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