失敗
<管理職からの質問>
部下のことを真剣に考えれば考えるほど、すべての面をみなければならないのではないかと思ってしまって頭の中が混乱しています。どう考えればよいでしょうか?
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<解説>
人事評価制度はその運用がひじょうに難しいです。以前も書きましたが、人事評価が上手く運用できず失敗したということも実際、耳にします。
人の考え方や感じ方は千差万別で、まったく同じであることはあり得ません。評価する上司と評価される部下との仕事に対する考え方や視点の置き方も違います。両者が担当している職務内容や役割が違うのですから当然といえば当然です。
このような中で、人事評価を行なわなければなりません。上司は神様のような完璧な存在ではありませんし、部下のことをすべてを見ているわけではありません。そんなことは現実的に不可能です。このことをまず踏まえておいてください。
そこで、考え方のポイントは次の2点です。
・人事評価は、「人」を評価するのではありません。
・人事評価は、「行動」を評価します。それも、一部の特定の行動について評価するのです。全部ではありません。
期待人材像をもとにして、部下に特定の行動を強く求め、それを評価するのです。いつでも、どんな分野でもオールマイティーに活躍できるような完璧な行動を期待して、行動のすべてを評価するのではありません。
期待人材像は中長期にわたって会社が求める従業員の姿(行動)を示しています。評価は、そのうちの一評価期間(例えば1年)における行動を評価すると考えれば、その期間特に重視すべき行動に期待を寄せて、それを評価するということもご理解いただけるのではないでしょうか。
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<ポイント>
人事評価は部下の行動を重点指向的にとらえ、評価していくものです。したがって、評価をする範囲は狭く考えることになります。そうすることで、納得性を高めていくことができます。
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<管理職からの質問>
人事評価制度は殊の外、難しく、失敗した会社が多いということをよく耳にします。それはなぜでしょうか?
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<解説>
人事評価制度で失敗する理由、今回は箇条書きで端的に示します。
制度に頼り過ぎる
・緻密に設計した制度を導入したら、自動的に機能すると考えている。
・制度さえ導入したら、従業員は納得すると思っている。
・他社や他事業所の制度をそのまま利用している。
・給与が上がる人事制度を作れば従業員はおのずと頑張るだろうと信じている。
管理職に任せ過ぎている
・管理職なら誰でも人事評価ができると考えている。
・評価者である管理職のレベルアップを図っていない。
・忙しいという理由で評価をきちんとやらない管理者への注意指導を会社が行っていない。
人事評価制度のことを従業員へきちんと説明していない
・会社や事業所としての「期待する人材像」が明確になっていない。
・評価の結果を従業員へフィードバックする仕組みがない。
・管理職も部下も人事評価制度に納得していない、または不信感を持っている。
思いつきで人事評価を行なっている
・収益が確保できないときに、人件費を抑制するために人事評価を実施している。
・首尾一貫しておらず、論理的ではない。その都度内容や基準が変わる、ブレる。
・従業員の欠点を見つけ出すために点数を付けている。
人事評価制度が上手く機能しなかった経験をお持ちの管理職で、上記のことに思い当たる方も多いのではないでしょうか?
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<ポイント>
人事評価制度は確かに人事制度の一つですが、制度を機能させるのは人間です。制度が勝手に機能することはありません。人事制度はコミュニケーションツールでしかないのです。したがって、人事評価制度が機能するか否かは、経営者、そして管理職の皆さん次第です。これを理解して取り組まないと、失敗につながるのも当然です。
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