人事コンサルタント鷹取が贈る「人事評価・労務管理・人材育成」入門

◆部下の人事評価・労務管理・職場のマネジメントに必要な考え方やツール、情報をピックアップしてお届けします。 ◆特に、医療・福祉分野の方向けにまとめていますが、一般企業の方にもぜひ参考としていただければ幸いです。 ◆担当は、人事総務部サポーター・現場管理職サポーターでアンガーマネジメント・ファシリテーターの『人事コンサルタント鷹取 人事マネジメント研究所 進創アシスト 代表』より。 【無断転載・無断複写禁止】

人事考課

人事コンサルタント鷹取が参天製薬『眼科と経営 №142』に執筆

参天製薬『眼科と経営 №142』に執筆
医業経営キホンのキ
「労務と経営 第4回 院長の想いを伝える人事考課」
眼科と経営 №142_201612


 
 

一般従業員における、上司からみた良い部下像

<管理職からの質問>
管理職の困った顔 部下がなかなか期待どおりに育ってくれません。他部門のベテラン管理職からは、私の部下はよく頑張っていると褒められることもあるのですが、私の評価が間違っているのでしょうか?
 
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<解説>
社労士 あなたと他部門の管理職とで部下の見方が違うのではないでしょうか?
 
 役職についていない一般従業員の場合、「成果」や「能力」への期待も無視してよいわけではありませんが、それよりも「情意」項目である“規律性”“協調性”“責任性”“積極性”をきちんと理解し、実践してもらうことの方が、まずは大事だと人事評価制度を見直しするときに検討メンバーから聞き、そのように構築しました。
上司からみた良い部下像 
 実際、上司(評価者)からみた良い部下の姿(部下像)について、いろいろな評価者研修でグループ・ディスカッションを行ない、意見としてまとめてもらうと次のような結果がよく出てきます。
 ・ 指示に対して忠実に取り組み、報告・連絡・相談がきちんと行っている
 ・ チームワークを大切にする
 ・ 与えられた目標を理解して、その達成のために一生懸命チャレンジする
 ・ 自分の意見を持っている
 ・ 意欲を持って仕事に取り組む
 これらは、正に「情意」項目であり、仕事をするにあたっての基本だと思います。まずは、こちらを重点において考えてください。そして、机上の学習ではなく、実際の仕事の中で学ばせ、身につけさせるために、丁寧に指導してください。
 
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<ポイント>
! 一般従業員の場合、上司からみた良い部下像では「情意」項目へ期待が大きいため、まずはこちらを重点において評価することが一般的です。(ただし、それぞれの会社ごとで人事評価制度の仕組み方が違いますので、担当責任者によく聞いてください。)
 
 
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評価の具体的な手順(1)~行動や結果の選択

<管理職からの質問>
困った顔_ 人事評価の全体的な流れはわかりました。次に、実際に評価をするときの考え方や注意点などについて教えてください。
 
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<解説>
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 まず、評価期間の終わり(期末)に、上司として実際に評価をする段階になったときの手順をみていきましょう。
 評価の具体的な手順①
 行動や結果の選択
  ↓
 評価項目の選択
  ↓
 評価段階の選択
 
 添付図に示すような順番で3つの選択を行っていきます。
 
 まず、1「行動や結果の選択」は、評価される部下のどのような行動や結果をとり上げるかを選択することです。職務に関するものを対象として取り上げ、職務に関係ない行動やプライベートなことは評価の対象として取り上げません。
 
 取り上げる行動は部下の具体的な行動となった事実をとり上げます。人物のイメージで評価してはいけませんが、無意識のうちに人物評価をしておられる上司がいます。人物で評価をしてしまうと、評価にエラーが生じます。極端にいえば、上司が「こいつはダメだ」と思って評価すると、何をやっても悪い評価にしかなりません。これでは、その部下の将来はないのも同然になってしまいます。
 
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<ポイント>
! 部下のどのような行動や結果をとり上げるかを選択するのが、最初の手順です。人事評価は人物の評価ではなく、行動の評価を行なうのがルールです
 
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<他社から学ぶ>
BlogPaint ある会社で資格取得に熱心な従業員がいて、ホームヘルパー3級やカラーコーディネーター、アロマセラピストの他、気象予報士などの難しい資格にも挑戦し、次から次へと資格試験に合格し同僚からも「すごいね」と注目を浴びていました。上司は評価の際、その従業員からの自己アピールや同僚から話を聞く中で、資格取得の行動を評価対象として取り上げたのですが、本当にそれでよいのでしょうか?
 取得した資格の殆どは、職務にはまったく関係はなく、活用できる機会はありません。行動の選択は、職務に関係があれば評価対象として取り上げてよいのですが、職務に関係なければ評価対象として取り上げないようにしましょう。
 
 
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評価結果を処遇に反映させる(2) 考え方の順番

困った顔_
 私が、部下として評価される立場にあったときに、その時の上司から人事評価は賞与や昇給を決めるために行なうと言われてきました。やはり処遇の査定のために、人事評価を実施するのですね。
 
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70be946f 
 人事評価というと賞与や昇給など処遇の査定のために実施するというイメージをもっておられる管理職の方がたくさんおられますが、それは違います。確かに、前回のblogで評価結果を処遇に反映させなければいけないと書きましたが、処遇の査定のためだけに人事評価を実施していると考えるのは間違いです。
 
 冒頭のblog「人事評価とは」でも説明しましたように、人事評価は
 ・ 事業運営を円滑に推進し、業績を向上させていくための
 ・ また、従業員の活性化や能力向上を図るための
マネジメント手段の一つなのです。
 
 したがって、これらの目的がまず先にあって、それを効果的に推し進めるために各従業員へ与えられた課題への取り組みに対する評価結果の差を処遇へ反映させるのです。この順番を逆にしてはいけません。
 
 課題の確認人事評価_「処遇反映へ順序」
  ↓
 課題の取り組み
  ↓
 課題の取り組み過程と結果の確認
  ↓
 処遇への反映
 
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<ポイント>
! 人事評価は、処遇の査定を第一目的としてはいけません。課題へ取り組ませ、その取り組みの過程や結果を評価し、その差を処遇に反映させるという順番で考えてください。

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BlogPaint
 人事評価制度を設け、高い給与が得られるような仕組みにしたから従業員は頑張ってくれるだろうと考える会社は結構あるのですが、そのような考え方で上手く機能しているところは少ないように思います。
 以前、パート従業員はとても優秀なのに、正規従業員は怠惰で何でも指示待ちという状態の小さな事業所があり、そこで正規従業員に頑張れば賞与に+αをするという人事制度を導入したいという依頼がありました。しかし、そもそも事業主が正規従業員にきちんと向き合って、コミュニケーションをとっているという職場ではなく、今後もそのようなことをするつもりはありません。人事評価制度という形だけで従業員のやる気を引き出そうとされていましたので、それだけでは無理でしょうとお話したところ、その後連絡はなくなりました。この事業所がその後どうなったかはわかりませんが、例え事業主が望まれる評価制度を導入したところで、怠惰で指示待ちの従業員が急に態度を変えて、優秀な従業員になるとは思えません。その前に、どのような従業員であって欲しいのかをきちんと伝え、理解させ、実践させることが必要ではないでしょうか。管理職も同じです。人事評価制度があるから部下は頑張ってくれるだろうと考えるのは間違いです。



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人事評価の流れ(ステップ)3 期末~[次期]期首

困った顔_
 今期の評価が終了すれば、その後は何をすればよいのでしょうか?

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70be946f
 今期の評価が完了すれば、その内容や結果を次期の評価にいかしましょう。

ステップ3
 「部下」は上司と期末評価の中で話し合った今期の課題に対するプロセスや結果について、自ら反省し、それを次期の課題にいかします。
 一方「上司」も部下の今期の課題に対するプロセスや結果について、指導・支援する上司の立場から反省し、それを次期にいかします。
人事評価制度_「評価期間における全体手順③」
 期末の評価が完了すれば、その結果や内容をすべてリセットして、新たにゼロから次期の課題を設定するのではありません。もし、そのような考えて進めてしまうと、今期に取り組んだことがムダになってしまいます。

 また、「会社」は全部門、全従業員の今期の評価が完了すると、その結果を総括し、次期の事業計画や目標に役立てます。そして、新たに設定された事業計画や目標をもとにして、部下は次期の課題設定を検討し、上司も次期の部下に取り組ませる課題を検討します。


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<ポイント>
!
 今期の評価を部下も、上司も役立てることが大切です。そう、PDCAを回してください。


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自己評価

困った顔_
 自己評価をさせた場合、上司評価との差が大きいと問題ですよね。また、部下が上司の評価に納得しないことも考えられますので、不安です。これら問題や不安について、どのように考えたらよいでしょう?

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70be946f
 [人事評価の流れ(ステップ)_期中~期末]、人事評価制度にはいろいろな形があり、中には自己評価をさせず、上司評価のみとする会社があると書きましたが、その理由としては次のようなことが考えられます。

・ 評価は上司がするもので、部下がするものではないという会社(社長)の考え方のため。
・ 自己評価で過大な評価をしたり、過小な評価をしたりする部下が多くて、適正な自己評価ができないため。

 前者のケースで部下に自己評価させない場合でも、フィードバック面接等で上司の評価に対する部下の意見を聞くことは必要です。
 後者について、自己評価と上司評価で違いが出ることはよくあります。いや、それが当然で、完全に一致することは少ないでしょう。中には、性格から自らを過大に評価したり、過小に評価したりする部下もいることは確かです。しかし、あまりにも過大であったり、過小であったりする部下が多いと、上司評価との差異(ギャップ)を埋めるために費やす説明時間は相当なものになります。これを敬遠して自己評価をさせないこともあるでしょう。

 しかし、この場合、そもそも期首に設定した課題を部下が正しく理解していないということが考えられます。これは上司が部下にきちんと説明していないと言い換えることができ、自己評価をさせることの是非ではなく、手順そのものに問題があるといえるでしょう。改めて人事評価制度そのものをチェックしなおすことをお勧めします。

自己評価 部下に自己評価をさせる目的を考えてみましょう。
a) 与えられた課題に対する過程や結果について、自ら振り返ることができる。
b) 上司が評価していない項目、評価の低い項目に対して、自己アピールすることができる。
c) 自己評価と上司評価との違いが明確になるため、上司からの説明を受けて、次期の課題設定に役立てることができる。

 a,b の2点について、自己評価の根拠を部下にもたせることが重要です。例えば、ある項目の自己評価を 【A (期待以上のできばえ)】 と付けた場合、「なんとなくできた、そつなくできた」というのではなく、「○○の課題について、期限内に目標を確実に達成し、ミスはなかった。関連する成果として△△を挙げることができる」と部下自身の口から説明できるようにさせることが大切です。根拠のない自己評価では、説得力がありませんし、次期の課題設定にも役立てることはできません。

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<ポイント>
! 自己評価をさせない場合でも、フィードバック面接等で部下の意見を聞くことが大切です。また、部下が自己評価を適切にできないという裏に、上司の説明不足があることも考えられます。
 部下に自己評価をさせる場合は、その根拠を示させることが必要です。


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自己評価や2次,3次評価など人事評価の仕組み

困った顔_
 私の知り合いに聞くと、自己評価がなかったり、上司一人だけではなく3次評価まで行なうような会社があるようなのですが、どれが正しいのでしょうか?

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 [人事評価の流れ(ステップ) 期中~期末]で示した図は、あくまでも一例です。この形が正しい、この形でなければならないというものではありません。実際、部下に自己評価をさせずに、上司だけが部下評価を行うという会社もあります。
 
1~3次評価jpg また、上司評価を1人だけではなく、その上の上司(例えば、部長)という2次評価を実施、さらにその2次評価の結果を、役員会や人事部で甘辛調整や全体調整を図る3次評価を実施する会社もあります。
 1次評価だけでよいのか、2次、3次評価を行うべきなのかは、その会社の規模や人事評価制度の内容や仕組み、活用度などによって違ってきます。2次、3次と評価を重ねる会社は、評価結果の処遇への反映度合いが高いため、間違いがないようにと精度を意識していると考えられます。

 いずれにしても大切なことは、評価の結果を部下にきちんと面接を通じてフィードバックすることです。そして、その評価結果を部下に納得させることが重要です。まったく、部下へのフィードバックをしない状態では、部下は何がよくて、何がよくないのかがわかりません。そして、次期の課題を適切に設定することができないばかりか、疑問や不安を抱えたまま次の課題に取り組むことになります。また、上司の行った評価を妥当なものだと信用することができなくなってきます。

 フィードバック面接をすると、部下から反対意見等の抵抗を受けるため実施しないという管理職がいますが、それでは管理職の役割を果たしていません。部下の反対意見等を聞いた上で、管理職である上司として自分の下した判断を部下に納得させるだけの説得力を持っていなければなりません。

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<ポイント>
!
 期末の評価の後には、必ず部下に対してフィードバック面接を実施し、何がよくて、何がよくなかったのかを伝えること。これは管理職の重要な役目です。

 

blog作成趣旨と特徴

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 投稿者は、現在人事コンサルタントであり、社会保険労務士としてたくさんの会社の人事労務の改善、従業員の意識改革の支援をさせていただいています。

 現在の職に就いて、多くの経営者や管理職の方々から、いろいろな生の声や本音を聴いておりますが、多くの方々が人事労務に関することをご存知ありません。

 特に、人事評価や労務管理は第一線の管理職が行なう重要なものですが、皆さんその重要性は理解されてはいるものの、中にはそれに関する研修すら受けたことがない状態です。また、管理職向けに書かれた本や資料もなかなか見つけられません。

 確かに、人事労務に関する本はたくさん出ており、セミナーもいろいろ開催されていますが、その殆どが人事部や総務部の担当者向けのもの です。それらには第一線の管理職には不必要なものも多いため、ひじょうに使いにくく、わかりにくいものになっています。
 
 投稿者は、現在人事コンサルタントであり社会保険労務士ではありますが、その前職では多数の部下をもつ管理職として、さまざまなことに悩み、また失敗もたくさん経験しました。その経験も踏まえ、管理職の方々に役に立つ、人事評価や労務管理のポイントをズバリ解説します。
 
 投稿記事は、管理職が抱える疑問や質問に対して、人事コンサルタントがそれに答える形にしています。
 
 そして、できるだけ図表などを用いて視覚的に理解していただけるように工夫し、反対に文字を少なくしています。

 さらに一つの記事毎にポイント解説を付け、押さえるべき点を示しています。また、他社であった実例を挿入して、身近に感じていただけるようにするとともに、自らの振り返りやチェックにもしていただければ幸甚です。



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