人事コンサルタント鷹取が贈る「人事評価・労務管理・人材育成」入門

◆部下の人事評価・労務管理・職場のマネジメントに必要な考え方やツール、情報をピックアップしてお届けします。 ◆特に、医療・福祉分野の方向けにまとめていますが、一般企業の方にもぜひ参考としていただければ幸いです。 ◆担当は、人事総務部サポーター・現場管理職サポーターでアンガーマネジメント・ファシリテーターの『人事コンサルタント鷹取 人事マネジメント研究所 進創アシスト 代表』より。 【無断転載・無断複写禁止】

介護人材の定着・育成

福祉の新人職員の業務習得には“モア”スモール・ステップ

福祉の現場で、
新人の定着や成長を望むのであれば、
スモール・ステップをお勧めしています。
 
新人の自信を無理なくつけさせることができるからです。
福祉の仕事は、人の命や生活に関わる責任ある仕事です。
それは新人もわかっています。
そのため、最初から大きな仕事を任せられると、
プレッシャーや不安を強く感じてしまい萎縮します。
「できなかったらどうしよう」
「利用者さんに迷惑かけたら嫌だなぁ」
と。
そういう姿を見たり感じたりしたことありませんか。
 
スモール・ステップで仕事に慣れさせ
少しずつ任せる範囲を広げることで、
新人は徐々に自信をつけていくことができます。
あなたが考えている以上に小さなスモール・ステップ
それを準備してください。
 
新人指導者向けの研修」でディスカッションすると、
スモールの意味を理解していなかったり、
意識がバラバラだったりします。
非常によくあるケースです。
 
  
ワンポイントメッセージ:
 福祉は人の命にかかわる仕事、その習得にはスモール・ステップ
 
スモール・ステップ_
 

叱るときにやってはいけないこと①/機嫌次第で叱る基準が違う

叱るときにやってはいけないのは
機嫌次第で叱る基準が違うこと、変わること。
同じことをやって、
昨日は叱られなかったのに、
今日は叱られた。
 
叱られた側は、なんで叱られたのかわかりません。
介護の現場で、よく起きていると、
利用者の方を向いて仕事をせずに
叱る相手の方を向いて仕事をしてしまいます。
叱られないように、そればかりを意識してしまうでしょう。
 
相手から叱られてよかったと思ってもらうには
叱る基準を変えないこと。
これが信頼関係の基礎になります。
 
 
ワンポイントメッセージ:
 機嫌が良くても悪くても、同じ基準で叱る(注意する)
 

「これぐらいは出来るだろう」が危険、特に介護福祉士など有資格者への思い込み

「これぐらいは出来るだろう」
特に、介護福祉士などの資格をもっているということは
一定の水準レベルにあるという証ですが
それによって
  出来て当たり前
  出来ない方がおかしい
と考えてしまう思い込みをしてしまうことがあります。
 
確かに、試験には合格しています。
しかし、実際の現場と試験とは違います。
特に、介護は一人ひとり違う利用者が相手ですから
教科書どおりにはいきません。
また、担当する業務のすべてが
教科書に載っているかというとそんなことはありません。
職場で多少なりともやり方は違いますし、
準備や後片付けのことを初めから知っているわけではありません。
今の先輩達も、それで苦労してきたでしょう。
それを忘れてしまってませんか?
 
ワンポイントメッセージ:
 資格は万能の証ではない。「これぐらいは出来るだろう」を疑う。
 

適切な叱り方、2つのポイント

叱るというのは、
相手に行動(言動や態度)を変えて欲しいというメッセージ。
blog「叱るときに押さえておくこと」で
  • 「~して欲しい」と要求を具体的に伝える。
  • 相手の立場に立って、理解できる言葉で伝える。
と書きましたが、
どう行動を起こして、どのようになればよいかが
相手にわかるということが、まずは重要。
 
そして、相手がわかっただけではダメで、
実際、行動を起こしてもらわなければならないので
それが判断できるような基準を持って伝えることも重要。
これが適切な叱り方です。
 
介護の新人に
「入浴介助をしっかりやるように」
 しっかりという表現では、わかりません。
 基準があるようで、ないのも問題です。
 
「入浴介助をチェックリストの手順でやるように」
 チェックリストは具体的で、わかりやすい一つですね。
 できているか基準も明確です。
 
 
ワンポイントメッセージ:
 相手が理解できて、行動が変わったことが確認できる基準が明確。これが適切な叱り方
 

新しい取り組みには不安がつきものなので、ほんのちょっとだけ変えてみる。

 
新しい取り組みには不安がつきもの。
嫌だとか
めんどくさいとか
反対する気持ちもわからなくもありません。
しかし、変化する時代についていくには
新しい取り組みをしなければならないときもあります。
そのとき大きな変化で完璧を目指すのではなく
ほんのちょっとだけ変えてみる
そんな工夫から始めるとよいでしょう。
 
職場に定着してもらうために、部署に
「プリセプター制度を取り入れよう」
これは大変なので
「プリセプター制度とはどのようなものか勉強しよう」
これだとできそうじゃないでしょうか。
この少しの取り組みが、
プリセプター制度で次なにをすればよいか理解でき
本格的な導入につながっていきます。
 
 
ワンポイントメッセージ:
 大きな変化ではなく、ほんのちょっとだけ。それを繰り返す。
 

職員が辞めない福祉の職場「新人に目標のゴールが近いと感じさせましょう」

 
目標としているゴールが近づいたときに
やる気が高まるといわれています。
心理学では「目標勾配(こうばい)理論」といいます。
 
福祉現場に入ってきた新人は
目の前のことでいっぱいいっぱいです。
目標といわれても、
はっきりイメージできているわけではありませんね。
ですから、先輩や指導職員が
目標、それもゴールに少しの努力で届きそうな目標を
具体的に立てるとよいでしょう。
 
例えば、
「食事介助ができるようになる」という目標は
新人には大きすぎ、ゴールが遠すぎますね。
いろいろやることを含んでいるからです。
 
「利用者さんを食事の席へ誘導できる」
「利用者さんへ食事で気をつけて欲しいことが説明ができる」
これならすぐにでもやれそうです。
ゴールが近いと感じますので、新人もやる気が出るでしょう。
 
やる気が続く職場では、職員は辞めませんね。
 
 
ワンポイントメッセージ:
 ゴールに少しの努力で届きそうな目標を先輩が準備する
 

中堅職員の育成を放ったらかしにしていませんか

 
やっと採用できた新人職員が離職することになるのは
採用が非常に厳しくなってきている福祉の職場では
非常に大きな痛手です。
あなたの職場でも定着させるために
いろいろな工夫に取り組まれているのではないでしょうか。
一定の効果がみられていると思います。
がしかし、
中堅職員はどうでしょう、離職していませんか。
新人職員と同様又はそれ以上に職場に影響が出てしまいます。
離職理由はいろいろあると思いますが
その一つに放ったらかし状態が指摘できます。
一定の知識とスキルが持てて、
ルーチンも十分こなせるようになると
「あとは一人で頑張ってキャリアアップしてね」
こうなっていませんか。
中堅職員といえども
まだ教えて欲しいことはたくさんあります。
キャリアアップのサポートを手厚くする必要があります。
 
 
ワンポイントメッセージ:
 中堅職員にもキャリアアップサポートで離職防止を
 

『車いすに感謝する』その姿勢を新人に見せる

 
車椅子や歩行器、松葉杖、介護ベッドなど介護用具に対して、
先輩が感謝しながら使うようにしましょう。
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感謝しながら使う具体例は、
  • 頻繁に使用しますので、メンテナンスを適切に行い、清潔にしておきます。長期間使えますし、効果的な利用が期待できます。利用者も気持ちがよいでしょう。
  • また、介護用品は適切な使い方が大事です。安全が何よりも求められる介護の現場で安全性が確保されます。安全が安心を生みます。
  • 使い終わったら用具に「ありがとう」と声をかける。

先輩が介護用品を感謝しながら使う姿勢を、新人が見ることで期待できること
  • 介護用具に対してプロフェッショナルな態度を示すことになります。それは新人にとってプロの振る舞いの見本となるでしょう。
  • 介護用具を感謝しながら丁寧に使うことは、利用者に対する尊重と思いやりを示すものとなり、新人はその大切さを学ぶことができます。
  • 感謝の気持ちを持つ様子を見ることで、ポジティブな職場風土が醸成されるでしょう。感謝の態度は他の職員にも波及し、協力的で支え合う雰囲気が生まれれば、新人も自然に感謝の気持ちと行動につながるでしょう。

ワンポイントメッセージ:
 車いすなど介護用具に「いつも、ありがとう」その姿勢を新人に見せる
 
 

『まずは着地を見せ、教え、やらせてみる、から』

 

福祉の現場から少し離れます。

自転車に乗れるように練習をするとき、

 止まって足を着地するところから始める。

跳び箱を飛べるように練習をするとき自転車練習

 跳び箱を飛び終えて足を着地するところから始める。

上手くできるようになるコツです。

最後が不安なんです。

だから、その不安解消から始めると
上手くできるようになることが多いですね。

 

福祉の現場でも

 食事介助
 入浴介助
 トイレ介助で

最後にどうなっていればよいか

それをまず先輩が見せて、教えて、やらせてみる。

一度、取り組んでみてください。
 
ワンポイントメッセージ:
 まずは着地から。
 

『福祉新人に上手くいかないときの準備をさせる』

 
失敗を恐れずに前向きに挑戦する新人は
それは素晴らしいですが
全員がそうではありません。
相手は利用者さん、人ですから、同じことをしても、驚き
相手の状態や気分によって、
上手くいかないことや失敗もあるでしょう。
 
スモール・ステップを踏んでいても起きます。
そのことを想定し、
上手くいかないときの対処の方法を
新人にも準備させておくとよいでしょう。
 
やり方を変える
タイミングを変える
声のかけ方を工夫する
先輩にヘルプを頼む
 
自分ができる対処の中で上手くいけばよいし、
そのすべてが上手くいかず、
最終的に先輩にヘルプを頼んだとしても
どういう対処をしたかの報告ができれば、
先輩も状況が理解できて対応しやすくなり、、
また指導もしやすくなるでしょう。
 
新人は経験が浅いので
対処のバリエーションが少ないと考えておきましょう。
 
 
ワンポイントメッセージ:
上手くいかないときの対処の仕方を準備させておく。
 

令和元年度も岐阜県の介護人材・育成事業を担当します

令和元年度も岐阜県の介護人材の育成事業を担当します。
 
平成28年度~30年度と「(介護事業所対象)プリセプター制度等導入支援事業」に関わってまいりましたが、令和元年度も講師として鷹取が担当することになりました。c3155-1
 
令和元年度は委託事業名称が「介護人材階層別育成セミナー」と変わり
①経営者・管理職
②中堅職員
③プリセプター(新人育成担当者)
という3階層にわたってセミナーを開催します。
内容もブラッシュアップします。
 
【岐阜県内の介護事業所さまは無料で参加できます。
案内は次のサイトでお知らせしています。

岐阜県介護情報ポータル

https://www.gifu-kaigo.jp/
をご覧ください。
 
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『岐阜県委託「介護人材階層別育成セミナー」事業 講師の人事コンサルタント鷹取が記事を書いています。
 
他県の事業所で「プリセプター制度」の導入や研修・セミナーをお考えの場合は、次までお気軽にお問い合わせください。
定着率をアップさせ、スムーズな育成を実現させます。
( Web窓口 )
 
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