人事評価の基本
部下がなかなか期待どおりに育ってくれません。他部門のベテラン管理職からは、私の部下はよく頑張っていると褒められることもあるのですが、私の評価が間違っているのでしょうか?
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<解説>
あなたと他部門の管理職とで部下の見方が違うのではないでしょうか?
役職についていない一般従業員の場合、「成果」や「能力」への期待も無視してよいわけではありませんが、それよりも「情意」項目である“規律性”“協調性”“責任性”“積極性”をきちんと理解し、実践してもらうことの方が、まずは大事だと人事評価制度を見直しするときに検討メンバーから聞き、そのように構築しました。
実際、上司(評価者)からみた良い部下の姿(部下像)について、いろいろな評価者研修でグループ・ディスカッションを行ない、意見としてまとめてもらうと次のような結果がよく出てきます。
・ 指示に対して忠実に取り組み、報告・連絡・相談がきちんと行っている
・ チームワークを大切にする
・ 与えられた目標を理解して、その達成のために一生懸命チャレンジする
・ 自分の意見を持っている
・ 意欲を持って仕事に取り組む
これらは、正に「情意」項目であり、仕事をするにあたっての基本だと思います。まずは、こちらを重点において考えてください。そして、机上の学習ではなく、実際の仕事の中で学ばせ、身につけさせるために、丁寧に指導してください。
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<ポイント>
一般従業員の場合、上司からみた良い部下像では「情意」項目へ期待が大きいため、まずはこちらを重点において評価することが一般的です。(ただし、それぞれの会社ごとで人事評価制度の仕組み方が違いますので、担当責任者によく聞いてください。)
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<管理職からの質問>
部下と話をしていると自分の将来の夢は語るのですが、その実現に向けて行動する姿勢が見られません。仕事の仕方も上司からの指示待ちの姿勢で、消極的です。素質としても、良いものをもっていると思うのですが、どのように育成していけばよいでしょうか?
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<解説>
キャリアは与えられるものもありますが、自ら作っていくものでもあります。どちらかというと後者の方が積極的になれます。(このブログでは後者の立場をとっていただくことを前提に解説しています。)
そこで、自らキャリアを作っていくためには、何らかの働きかけが必要になります。この働きかけがなければ、与えられるものをただ待つだけということになってしまいますが、働きかけ次第で、考えている将来の姿を自らの手で獲得できるようになるでしょう。
この働きかけるということですが、例えば上司に対して、ただ単に自分の意見を述べたり、自己主張をすれば良いかというとそうではありません。
上司に働きかけ、上司を納得させて動かすには、努力が必要です。例えば、上司のレベルに近づく努力、上司の立場や考え方を理解して、先を読み行動する努力、上司が苦手とする分野を得意分野に持ち上司をサポートする努力、上司を見方につける努力などです。このような努力をする中で、いろいろな経験や知識、知恵を学んでいくことができ、次第に上司に認められるようになるでしょう。
上司に認められれば、働きかけにも耳を傾けてくれるようになります。そうすると、自分の考えていることの実現の可能性が高まることになると思いますので、部下にはそのように指導してください。
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<ポイント>
キャリアというものを主体的に形づくっていくためには、会社や上司などへ働きかけるということが必要になります。働きかけの中で、自分の考えていることの実現可能性が高まるのですが、そのためには会社や上司に認められる力をつけなければなりません。
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<管理職からの質問>
私は、評価する立場に立って2年近くになりますが、いまだに評価に対する“悩み”や“不安”がかなり大きいのですが、他の管理職はどのように自信をつけているのでしょうか?
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<解説>
管理職の中で、人事評価に“悩み”や“不安”を持たない者はいません。それが普通だと思います。反対に、評価に対して自信に満ち溢れていて「間違いはない、完璧に評価した」という管理職がいれば、自分のエラーや偏りの傾向を無視してしまっている可能性がありますので、返って危険ではないでしょうか。
これでよいだろうかと悩みつつ、部下のことを真剣に見つめ、考えることが評価者にとっては大事だと思います。
具体的な評価者の“悩み”としては、次のようなことが挙げられます。
・人事評価ことを1から10まできちんと勉強していない自分に評価ができるだろうか?
・客観的に評価できるだろうか? 主観が入ってしまいそうだ
・評価をすることで人間関係が崩れてしまわないだろうか? 職場の雰囲気が悪くならないか?
・評価される側に、仕事への意欲を低下させないようにできるだろうか?
・目標設定のとき、その人にあったアドバイスができるだろうか?
あなたも同じような“悩み”や“不安”ではありませんか?
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<ポイント>
評価者であれば皆、同じように“悩み”や“不安”を持っています。それらを認識した上で、部下のことを真剣に見つめ、考えることが大事だと思います。
<管理職からの質問>
相対評価の長所と短所について教えてください。
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<解説>
絶対評価の長所と短所を前回確認しましたので、今回は相対評価の長所と短所をみてみましょう。
●相対評価の長所●
(a) 細かい評価基準は必要がない。
(b) 人の序列化なので、概ね妥当な結果となり、上司の能力によって評価に差がでにくい。
(c) 分布が予め決められているので、上司の評価の癖による評価が甘い(寛大化)、または辛い(厳格化)という傾向が生じにくい。
(d) 賞与や昇給の原資との調整がしやすい。
■相対評価の短所■
(e) 細かい評価基準がない代わりに、部下のなにが良くてなにができていないのかを具体的に示すことが難しく、個人の能力開発に結びつけにくい。
(f) (e)にも関係するが、なぜ「A」評価なのか「B」評価なのかなど、その理由が説明しにくい。
(g) 人との比較評価なので、他の者との競争であることが強調されてしまいがちになり、敵対的な意識をもたせてしまうことになる。
(h) 与えられている目標を達成しても、周りも者も同じように目標達成していれば、相対関係で評価が決まるため、本人が思っているよりも評価が低いということがおきやすい。
(i) 人数が少ないと分布がつくりにくい。また、どの評価にすればよいのか迷う。
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<ポイント>
簡単にまとめてみると、相対評価の長所は概ね妥当な結果になること、短所は評価結果の理由が具体的に示すことが難しく能力開発に結びつけにくい。
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<管理職からの質問>
『期待する職員像』の「期待内容」の各項目とその内容は決まりましたが、これからどうすればよいでしょうか?
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<解説>
各項目を一つずつ見てきましたので、それをすべて表に埋め込んで、全体像をみてみましょう。全体像を一覧にしたエクセルファイルを作成しましたので、ダウンロードしてご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/shinsou_assist/iryou_fukushi/kitaisyokuinzou_ichiran.xls
どうでしょう、貴法人における『期待する職員像』に近いものができましたか?
全体のバランスがとれているでしょうか? 表の各枠の縦と横を見比べてみて、内容やレベルの整合性がとれているか確認してください。適切でなければ、修正したり加筆したりすることが必要です。
別の項目に入れ替えたいとか、項目数が少なすぎるので増やしたいなどの意見も出てくるでしょう。どのような項目が貴法人にとって適切かよく検討し、適した項目とそれに応じた内容にしてください。但し、項目が多ければ多いほどよいというものでもありません。多ければ、それだけ管理が複雑になり、運用が難しくなります。職員もわかりにくくなるでしょう。
また、現在の職員のレベルと見比べてみてください。現在のレベルよりも『期待職員像』が低い内容であれば適切ではありませんので、見直す必要があります。『期待職員像』は貴法人において職員にあるべき姿に近づいてもらうわけですので、少し高めのレベルで設定するようにしてください。但し、『期待職員像』を欲張ってあまり高いレベルに設定すると、職員は頑張っても期待像に到達できず、やる気を失わせることにもなります。
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<ポイント>
『期待する職員像』の期待内容の各項目とその内容が決まりましたら、それを一覧表にしてみましょう。全体のバランスや整合性がとれているか確認し、必要であれば手を加えてください。また、現在の職員レベルとも比較し、法人の期待する姿に向かって努力してもらえるよう少し高めの内容が適切でしょう。
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<管理職からの質問>
期待職員像の「指導力」について教えてください。
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<解説>
「指導力」は、部下や後輩などに対しての指導・育成に必要な行動や考え方・姿勢のほか、組織として職員を統率できる姿勢やその能力も含めて期待像を考えてみてください。
「指導力」も他の能力と同様、職員の役割やレベルによって当然違ってきます。一例を挙げてみます。
・新入職員…自分より後に入った新入職員に対して、面倒をみたり相談に乗れる。
・中堅職員…後輩や同僚に対し、日常業務においてよい手本となるような取り組みや姿勢が示すことができる。日常業務について、その必要性や根拠を含めて、わかり易く丁寧に教えられる。
・主任…法人や事業所の方針を十分理解して、上司をサポートし責任をもって担当業務を遂行する姿勢を示すなど後輩や同僚の模範となっている。業務上必要な知識や技術を向上させるために適切な指導・助言ができる。
・管理職…法人や事業所の方針を部下にわかりやすく伝え、進むべき方向(ベクトル)に向かって職員をまとめることができる。部下一人ひとりに対し、業務上必要な知識・技術を向上させるためにスーパーバイズ的な観点から指導・援助・助言ができる。中長期的な視点に立って、職員育成のためのローテーション及び教育計画を立案でき、業務上の能力向上のほかノウハウの引継ぎや後継者育成も図れる。
以上はあくまでも一例です。当然に法人の規模、事業内容やその特性によって、判断内容は変わってきます。あなたの法人においては職員にどのような「指導力」があるとよいと考えますか? 具体的に話し合い、列記してみてください。
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<ポイント>
『期待する職員像』に求められる「指導力」においても、担当している職員の役割やレベル等において当然内容は違ってきます。部下や後輩に対しての指導・育成に必要な行動や考え方・姿勢のほか、組織として職員を統率できる姿勢や能力も含めて期待像を考えてみてください。
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<管理職からの質問>
期待職員像の「企画力」について教えてください。
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<解説>
業務において企画する能力、例えば行事企画や改善企画、プロジェクト的な新規事業企画、または経営企画など業務や事業を効果的に行なうための計画を立てる能力をいいます。
なお、企画に関することだけをイメージすれば新入職員などの経験年数の浅い職員には、企画そのものを行なう機会が少ないため、求める能力がなくなってしまいます。そこで、問題意識や創意工夫などもこの部類に含めて考えてみてはいかがでしょうか?
企画力も他の能力と同様、職員の役割やレベルによって当然違ってきます。一例を挙げてみましょう。
・新入職員…担当業務に関して問題意識をもって意見を述べ、創意工夫を行なったり、具体的な改善提案が行なえる。
・中堅職員…効果の期待でき、また具体的でわかりやすい行事企画や改善企画を自ら作成することができる。
・主任…他部署と共同して企画立案ができる。現状や前例にとらわれることなく、改革や改善企画を立案することができる。
・管理職…戦略的な経営計画の企画案を立てることができる。利用者や家族、地域や関係機関に向けての事業企画を作成し、プレゼンテーションを行ない納得させることができる。
以上はあくまでも一例です。当然に法人の規模、事業内容やその特性によって、判断内容は変わってきます。あなたの法人においては職員にどのような「企画力」があるとよいと考えますか? 具体的に話し合い、列記してみてください。
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<ポイント>
『期待する職員像』に求められる「企画力」でも、担当している職員の役割やレベル等において当然内容は違ってきます。利用者サービスとしての行事企画や職場の改善企画などの日常業務において求められるものから、事業戦略などの経営的なレベルで求められるものまであります。なお、問題意識や相違工夫などもこの部類に含めて考えてみてもよいでしょう。
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